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wandering darkness
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2004/04/07 (水)
赤い夜


窓から見える月が赤くて、やたら大きい。
不気味。
不安が込上げて来た。

何時もの量の睡眠薬が効かなくて焦った。

オーバードースはしない主義だけど。
精神安定剤を三日分、一度に飲んだ。
半分は、噛み砕いたと思う。

効かなかったのか。
飲み過ぎたのか。

自分の後姿が見えた。

これは初めてでは無いけれど、久しぶりだった。

幼い頃は、殴られる度、自分の姿を見て居た。
それが不思議だとは思わなかった。
暴力を振るわれて居るのは、私じゃない。

そう思って居た。

睡眠薬を飲んで、眠ってしまおうと思った。

手が震えて。
シートが上手く掴めなくて。
薬が取り出せなくて。
パニックになりそうだった。

私はリストカットはしないけれど、正気を取り戻せる事は知って居る。

自殺を図った時。

痛みと流れる血が、生きて居ると叫んで居た。
家族に見付かって、十七針、外科で縫った。

母は頭ごなしに怒った。
父は静かに泣いて居た。

それ以来、自殺願望が湧き上がっても、耐えた。

母の怒りで無く、父の涙のために。

私は、彼とペアの十字架のネックレスで、手のひらを刺した。
赤い血が、赤い月に照らされて、光った。

明日は高校の入学式。



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