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wandering darkness
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2004/04/14 (水)
佐伯操


今日も、前の席の子が、煩く話し掛けて来た。
相変わらず、他人の噂話。

そんな奴は知らねぇっての、と言いたくなった。

「部活は何やるの?」

これ位は答えても平気だろう、と思った。

「美術部」

すると。
「アタシの前の席の子も、美術部なのよ」

そう言って、自分の前の席の子に教えて居る。

その子が、私に振り返った。
吸い込まれそうな大きな眼をした子。
綺麗な顔立ちだった。

その子は、私の所へ来て「今、迷って居るんだ」と言った。

その子の名前は「佐伯」でした。

佐伯は、中学時代、美術部とバレー部をして居たらしい。
佐伯の中学では、運動部と文化部を同時にやる規則だった、と言った。
だから迷って居るんだ、と。

佐伯は突然、話題を変えた。
「部活の話は置いて、友達にならないか?」
私は、気が合いそうだと思ったから、頷いた。

佐伯は「じゃ、よろしく。ひかる」と笑って言った。

佐伯が立ち去った後、前の席の子が言った。

「あの子、友達が居なかったのよ」
「ちょっと美人だからって、威張るから女子には嫌われてたの」
「成績も良くて何でも出来るから、男子からも嫌われてたもの」

嫉妬。

醜い感情。



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