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wandering darkness
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2004/04/17 (土)
『紫苑』


今日は診察日だった。

主治医と話をして居る時、記憶が飛んだ。
「ひかるさん」
主治医に呼ばれて意識が戻った時、酷い頭痛がした。

主治医は「人格を確認しました」と言った。

名前は『紫苑』。
性別は男子。
年齢は13歳。
気が強くて無口。

「ここまでしか解りません」
けれど、憎しみの感情が強い部分が危険だ、と感じたそうだ。

この子も私なのか。

違う。
私も本当の自分では無い。
私も無意識に作られた人格の一人。
作られた。

主治医が「また菫さんの様な顔をして居ますよ」と微笑んだ。

私は主治医に「話の続きですけど」と言った。

主治医は「佐伯さんと河野さんの事ですか?」と訊いた。
私は「はい」と答えた。

どうしたら二人を仲良く出来るか。

主治医は「心理的に考えると」と話し始めた。

佐伯は河野に元々、悪意は無い。
好意とは言えないが、善意を持って居る。
精一杯の事をした、と客観的に見ても思える。

佐伯は、友達が居ない孤独を知って居る。
が、河野と佐伯の孤独は異質だ。

佐伯は、優秀と見られて理解が得られなかった。
河野は、劣悪と見られて理解が得られなかった。

互いの理解は難しい。

河野が歪んでしまって居るか如何か。
これが鍵。

私は、其々の立場に立って考えてみた。

解らなかった。



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