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wandering darkness
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2004/04/15 (木)
上辺の友達


私は、部屋のドアにメモを貼った。

「友達が出来た。
 名前は佐伯操。
 眼の大きな美人。
 髪は肩の上」

学校で入れ替わる事は、殆ど無い。
けれど過去、何度か有るから、油断は出来無い。

携帯で彼に知らせた。

彼は「良かったな」と言ってくれた。
本当に嬉しそうに。

それは私が「上辺の友達」しか居ない事を、知って居たから。
病気を隠して居た。

「時間を守らない」
「性格が変わる」
「遊びに行く約束を破る」

上辺の友達が、そう陰で言って居る事は、知って居た。

彼は「高校では、病気を隠す必要は無い、と思うぞ」と言った。
「ひかるの高校は馬鹿が少ないから、理解してくれる」

「解離性同一性障害疑い有り」

勇気の要る事ですが、彼の言う通りだ、と思った。
秘密を持って居て、親友になれるとは思えない。

佐伯は、理解が出来ると思う。
頭が良いと感じた。

成績やIQと言う意味では無く、人間として。
顔が綺麗だとか、成績に嫉妬されて居る、と解って居る眼だった。

それが、くだらないと言う事も。

解って居ても、寂しかったと思う。

孤独。

佐伯は私の孤独に気付いて、友達に選んだのかも知れない。

もう、上辺の友達は要らない。




2004/04/14 (水)
佐伯操


今日も、前の席の子が、煩く話し掛けて来た。
相変わらず、他人の噂話。

そんな奴は知らねぇっての、と言いたくなった。

「部活は何やるの?」

これ位は答えても平気だろう、と思った。

「美術部」

すると。
「アタシの前の席の子も、美術部なのよ」

そう言って、自分の前の席の子に教えて居る。

その子が、私に振り返った。
吸い込まれそうな大きな眼をした子。
綺麗な顔立ちだった。

その子は、私の所へ来て「今、迷って居るんだ」と言った。

その子の名前は「佐伯」でした。

佐伯は、中学時代、美術部とバレー部をして居たらしい。
佐伯の中学では、運動部と文化部を同時にやる規則だった、と言った。
だから迷って居るんだ、と。

佐伯は突然、話題を変えた。
「部活の話は置いて、友達にならないか?」
私は、気が合いそうだと思ったから、頷いた。

佐伯は「じゃ、よろしく。ひかる」と笑って言った。

佐伯が立ち去った後、前の席の子が言った。

「あの子、友達が居なかったのよ」
「ちょっと美人だからって、威張るから女子には嫌われてたの」
「成績も良くて何でも出来るから、男子からも嫌われてたもの」

嫉妬。

醜い感情。




2004/04/13 (火)
煙草


私は、煙草を吸う。

一日、一箱。

吸い始めたのは去年の冬。
受験勉強のストレス解消に吸って居たら、止められなくなった。

友達の殆どは、摂食障害が多かった様だ。

夜食を食べるのが習慣になって、過食になった奴。
食べると眠くなるから、拒食になった奴。

受験が終わっても、治らないらしい。

私も止められない。

私が煙草を吸ったのは、悪い事なら何でも良かった。
煙草が、最も手軽な方法だっただけ。
「悪い事」がストレスを解消してくれる。
それは私が「悪い奴」だから。

簡単な理由。

初めて吸った時は、咳き込んだ。

身体に悪い、と思ったら、二本目に火をつけた。
具合が悪くなった。

翌日も同じ事をした。

その翌日も。

段々、気分が悪くなるまでの本数が、増えて行った。
受験当日には、一日一箱になって居た。

主治医には「それは自傷行為ですよ」と言われた。

リストカットやオーバードーズと同じらしい。

身体に悪い。

それが解って居て、やって居るんだから。
おまけに「法律違反」だ。

彼も吸いますが、私よりは酷くは無い。
彼は「吸わないと辛い」とは思わないらしい。

私は「禁断症状」が出る。

長時間、吸わないと苛附く。
学校で吸ってしまった事も有る。

私は「悪い奴」




2004/04/12 (月)
友達


私は友達を作る、と言う発想が出来ない。

友達になる、と言う考え方なら出来る。
私が選ぶのでは無く、選んで貰うと言う主義。

自分の席に着いて、ただ座って居る。

同じ中学から来た様子の、数名の塊が出来て居る。
中学時代のクラス替えの度に、思った事が有る。
この数名の塊は、必ず良くない関係になる事。

解散。
クラスで浮く。
苛め。

高校生にもなって、そんな事は無いだろう、と思った。

前の席の女の子が振り返って、話し始めた。
その子の話を聞いて居た。
同じ中学出身の隣のクラスの子の噂話だった。

つまらない。

この子とは友達になれそうに無い、と感じた。

選んで貰う主義だけれど、他人の噂話をするタイプは苦手。

隣の席の男の子が「なんて読むの?名前」と訊いて来た。
「ひかる」
彼は「俺も、そういう名前が良かったな」と言った。

ネームプレートを見ると「一美」と書かれて居た。
「かずみ」
一美君は自分の名前を言って「苦労した?」と訊いた。

私は頷きました。

一美君は「俺も苦労したよ」と笑った。

明日こそ、女の子と友達になれるといいな、と思った。

彼以外の男の子は、苦手。




2004/04/11 (日)
ファーストキス


今日は彼の家へ行った。

彼の母さんが出て来て、緊張した。

中学時代に会って居るので「初めまして」は変。
彼の母さんが「こんにちは。いらっしゃい」と笑って言ってくれた。
私は慌てて「こんにちは」と言った。

心臓が破裂しそうだった。

彼は「最上ひかる。付き合う事にしたから」と言った。

彼の母さんは切ない眼をして、優しく微笑んだ。
「どうぞ」
中に勧められながら、彼の母さんも知って居るんだ、と解った。

私の記憶に無い過去。

彼の部屋に入ろうとした時、彼の弟と妹に会った。
二人とも中学生らしい。
「美人じゃん」
そう言われて複雑な気持ちになった。

可愛い、と言われた事も有るけど、信じられない。
祖母と母と姉に「醜い」と言われて居たから。

私は醜い。

顔を伏せて、彼の部屋に入った。
彼はミルクティを淹れてくれて、自分にはコーヒーを淹れて居た。
私は幼い頃から甘い物を食べて居ないので、砂糖抜き。

こんなに気を使う彼女なんか、嫌じゃないかな、と思った。
パニック発作も持って居る。

彼にそう言った。

彼は黙ってCDを入れ替えた。


貴方の腕が声が背中がここに在って
私の乾いた地面を雨が打つ
逃げる事など出来ない 
貴方は何処までも追って来るって
泣きたい位に分かるから 
分かるから


彼は「そう思ってろ」と言って、キスをした。




2004/04/10 (土)
解離性障害に薬は無い


今日は診察日だった。

高校の入学式の前夜、オーバードーズをした事を話した。
自傷した事も。

主治医に「薬を飲まなくても平気でしたか?」と訊かれた。

オーバードーズをしたので、二日間、精神安定剤が無かった。
私は平気だった。
鎮痛剤は使ったけれど、精神安定剤が欲しいとは思わなかった。

主治医は「解離性障害に効く薬は有りませんから」と言った。
この言葉を聞くと落ち込む。

主治医は「菫さん?」と訊いた。
私は慌てて「いいえ。私です。ひかる」と答えた。
主治医は「ごめん。似てたから」と言った。

『菫』は内気で、よく泣くらしい。

私は、泣かない性格だ。

強くなんか無い。

正確に言うと、涙が出ない。
悲しみの感情は有る。
でも、泣けない。

私の心の中で、何かが欠けて居るんだ、と思う。

主人格も人格。

そういう事かも知れない。

自分を人格だ、と思う事は怖い。
とても。
けれど、私も交代人格だった頃が有る。

昔、主人格が自殺を図ってから、私が主人格になった。
交代人格の自分の方が、好きだった気がする。

自分だけの名前。
自分だけの記憶。
自分だけの感情。

私が、自分を好きだ、と思えるのは、彼と居る時だけだ。




2004/04/09 (金)
通過儀礼


中学校の卒業式の時、泣いて居る子が居た。

私は、解放された様な気分だった。

煩わしい友人関係。
受験勉強。
私の記憶に無い過去を知って居る人達。

彼じゃない男子に、制服のリボンを欲しいと言われた。
けれど、悪意を感じて逃げた。
走って帰ったのを覚えて居る。

高校の入学式も、感動は無かった。

三年間、乗り切らなければ。
ただ、そう思った。

どんな事も私には「通過儀礼」に過ぎない。

部活は参加自由でしたが、何かしたいと思った。

幼い頃の虐待のせいで身体が弱いから、運動部は無理。

中学時代は美術部でした。
美大受験専門の高校を薦められたから、自信は有る。

絵が私の唯一の特技。

虐待の結果だと思うと、皮肉だ。

音楽は苦手だった。
小さな声で、好きな曲を口ずさむと、必ず褒められる。
「綺麗な声だね」
けれど、大きな声が出ない。
コーラスでも名指しで、声が出て居ない、と言われてしまう。

体育は人並みに出来たけれど、精一杯だった。

最も苦手だったのは、家庭科だった。
先生が「嫌味な女」ばかりだったから。
先生が魅力的な女性だったら、家庭科が好きだったかも知れない。

高校教諭は良い先生だと良いな、と思った。




2004/04/08 (木)
桜の花の満開の下


何処の学校でも、桜を植えて居るのだろうか?

そんな事を考えながら、校門を潜った。

この学校にも桜が植えられて居た。
何本も。
空が見えない位、見上げる様な大きな桜だった。

髪に落ちた花弁は白い。
遠くに見える桜は赤い。
不思議な花。

ふと、思い出した。

「桜の木の下には死体が埋まって居る」

この学校では、冗談に聞こえ無いかも知れない。
昔、処刑場だったらしい。

私は新入生の群れと一緒に、講堂へ行った。

名前を呼ばない略式で良かった、と思った。

私は、名前を呼ばれるのが苦手。
「最上ひかる」
漢字で書くと、性別が解らない名前だ。
普段は、平仮名で書く事にして居る。

彼も今頃、入学式の最中だと思った。

バンドエイドを貼った手のひらが、痛んだ。
彼氏とペアの十字架のネックレスで、自傷した痕。

悪い事をしてしまった。

これは、私が自傷するために買ってくれたものでは無い。

十字架に附いた血は、黒くなっていた。
洗ったけれど、残ってしまった。

彼の十字架は綺麗。
私の十字架は血で穢れた。

彼は私を必要だと言ってくれる。
私は、その言葉を信じ切れないまま、付き合って居る。

私には、彼が必要だから。

同じ速度で歩きたい。
同じ高さで世界を見たい。

今の私と彼は陰陽。




2004/04/07 (水)
赤い夜


窓から見える月が赤くて、やたら大きい。
不気味。
不安が込上げて来た。

何時もの量の睡眠薬が効かなくて焦った。

オーバードースはしない主義だけど。
精神安定剤を三日分、一度に飲んだ。
半分は、噛み砕いたと思う。

効かなかったのか。
飲み過ぎたのか。

自分の後姿が見えた。

これは初めてでは無いけれど、久しぶりだった。

幼い頃は、殴られる度、自分の姿を見て居た。
それが不思議だとは思わなかった。
暴力を振るわれて居るのは、私じゃない。

そう思って居た。

睡眠薬を飲んで、眠ってしまおうと思った。

手が震えて。
シートが上手く掴めなくて。
薬が取り出せなくて。
パニックになりそうだった。

私はリストカットはしないけれど、正気を取り戻せる事は知って居る。

自殺を図った時。

痛みと流れる血が、生きて居ると叫んで居た。
家族に見付かって、十七針、外科で縫った。

母は頭ごなしに怒った。
父は静かに泣いて居た。

それ以来、自殺願望が湧き上がっても、耐えた。

母の怒りで無く、父の涙のために。

私は、彼とペアの十字架のネックレスで、手のひらを刺した。
赤い血が、赤い月に照らされて、光った。

明日は高校の入学式。




2004/04/06 (火)
嫌悪


私は、他人に嫌われるのが平気。

変わって居ると言われる。
皆、嫌われるのが怖い、と言う。

私は、その気持ちが解らない。

それは、きっと、私が人を好きになれないからだ、と思う。

好きな人と会う事しか許されないとしたら。
独りで生きて行くしか無い。

好きな人の気持ちを引き付けたいと思ったら。
努力しなければならない。

面倒くさい。

私は、誰かに憎まれるのも平気。

幼い頃から、祖母、母、姉を憎んで生きて来たから。
この憎しみを超える程の感情で、憎まれるとは思えない。

私は、有り触れた毎日を送って居る。

それに、私なんか、憎まれる価値も無いと思って居るから。

愛される価値が無いから。

自立して生きて行きたいけれど、孤立して生きて行くしか出来ない、と。

自分に対する評価が低過ぎる、と。
そう言ってくれる人もいるけれど、その言葉が信じられない。

主治医に「虐待の結果です」と言われた。
自信を根こそぎ奪われて居るんだ、と。

自信なんか欠片も無い。

自分の、一体何を信じれば良いのか、解らない。

記憶が飛ぶから。
それだけじゃ無いと思う。

幼い頃、私は自分が人間だと知らなかった。
そういう扱いを受けて来たんだろう、と思う。

私は今も問い掛けたくなる。

「私は人間ですか?」




2004/04/05 (月)
過去


私には「記憶に無い過去」が有る。

けれど、この過去は私を知る人は、誰でも知って居る事。

二つ有る。
一つは、小学校三年生の時、担任の教師に性的虐待を受けた事。
もう一つは、中学校一年生の夏休みに、監禁された事。

どちらも、ニュースになる程の騒ぎだったらしい。

主治医は「別の人格が記憶を持って居るのかも知れません」と言った。
幼い頃の虐待の記憶が無い事と、同じ理屈らしい。

私は、この話をされると頭痛がする。
思い出す事を、脳が拒否して居るらしい。

そうしなければ、私の心が壊れてしまうから。

主治医は「可能性としては、記憶喪失に近い場合も考えられます」とも。

私の基本人格は幼い頃に虐待を受けた。
無意識に人格を作ってしまう癖が、ついてしまった。

小学校三年生の時。
中学校一年生の時。

無意識に人格を作って、記憶を押し付けて居る。
この先も辛い事が有る度、人格を作ってしまう事も解って居る。

私が何をしたと言うんだろう。
私の何が悪かったんだろう。
汚れた物を見る様な眼を向けられるんだろう。

そんな時、彼だけが庇ってくれた。
「最上は被害者だ」と。

主治医は「彼が正しいんです」と言った。

幼い頃の虐待も、私は被害者。




2004/04/04 (日)
十字架


私と彼はペアのネックレスを付けて居る。

シルバーの十字架。

中学三年生の時、受験勉強で会える時間が減るから、と。
彼が買ってくれた物だ。

素直に喜べば良いんだ、と解って居る。

けれど、肌に当たる感触が冷たくて、息が苦しい。

私と彼は違う高校へ行く。

彼は工業高校。
やりたい事が決まって居るから。

私は進学校の普通科。
やりたい事が解らないから、高校三年間、考えるつもり。

幸せになりたい。

それだけは、誰もが考える事だと思う。
けれど、何が私に取って幸せなのか、解らない。

彼は好き。

そばに居ると安心する。
でも、この気持ちは永遠では無いんだ、と考えてしまう。

永遠の幸福なんか、どこにも無い。

私は神の存在を信じて居ない。
言い換えるなら、神が嫌い。

私は何故、虐待されて育たなければならなかったのか、解らない。

生まれて来た事が罪だ、とでも言うつもりなのか、と。
今、心の病気で有る事が試練だ、とでも言うつもりなのか、と。

十字架のデザインは好き。
賛美歌を歌うのも好き。
誰も居ない教会で、考え事をするのも好き。

それでも神は嫌い。




2004/04/03 (土)
解離性同一性障害


私は自分の病名に対して、半信半疑。

「疑い有り」だから、尚更だ。

記憶が飛ぶ、と言う自覚症状は有る。
だから「解離性障害」までは認める事が出来る。

けれど、自分の中の他人には、半信半疑だ。

自分がした覚えの無い事を、知らない間にして居る。

それが、この病名の苦しみと言われて居る。
私の場合も、この体験が有るのは確かだ。

絵を描いて居た、と言われる事が多い。
これは「集中すれば時間の感覚が変わる」と思って居た。

けれど、祖母、母、姉を殺そうとした事は、説明が出来ない。





今日は診察日だった。

私は正直に「やっぱり信じられない」と主治医に言った。
主治医は「主人格は、そう言うんです」と答えた。

交代人格は「人格」と言う自覚の有る者が居るそうだ。
今、5名。

桔梗

竜胆

向日葵

どんな子なんだろう?




2004/04/02 (金)
孤独が嫌いな理由


幼い頃は独りが好きだった。
殴られたり蹴られたりするより、独りが良かった。

絵本を読める様になるのが、他の子より早かったらしい。
けれど、それは褒められても嬉しく無かった。

孤独の結果だったから。

心の何処かで、寂しかったんだと思う。

絵を描くのも好きだった様だ。
沢山の賞を貰って居る位。

でも、それを見ると悲しい。

孤独の結果だと思い知らされるから。
母の自慢でも有るから、悔しい。





今の私は独りが嫌い。
怖い、と言っても過言では無い程。

記憶が飛ぶ恐怖は、経験しないと解らないと思う。
その間に「自分では無い自分」が何をして居たのか、不安だ。

それから自分に戻った時の頭痛。

「自分では無い自分」が誰だったのか、で、痛み方は違う。

担当医に名前だけ教えられて居る人格。
私自身も自覚して居る人格。
担当医すら知らない、私の知らない人格。

私の場合、自覚して居る人格は、クラッとする程度。
名前だけしか知らない人格は、鎮痛剤が必要な位は痛む。
誰も知らない人格は、気を失う程、痛む事も有る。

実際、中学二年生の時、学校で気を失って倒れた事が有る。

その時、保健室へ運んでくれたのが、今の彼だ。




2004/04/01 (木)
私の心の病気


私は「ひかる」最上ひかる。

「解離性同一性障害疑い有り」
これが私の病名。

私は15歳の高校一年生だ。

中学時代「ボーダーライン症候群」と言われて居た。
治療が進んで行くと、違う病名だと判った。

小さい頃から、頭痛と記憶が飛ぶ事に悩んで居た。
ずっと「自分は頭が悪い」と思って居たから。

解離性障害の症状だった。

私は、虐待を受けて育った。
その頃の記憶は無いけれど、酷かった様だ。

左手と頭蓋骨を骨折して居る。
何度も鼓膜を破ってしまって居るので、左耳が聞こえない。

右足の親指が無い。
弟の話によると、祖母が切ったらしい。
弟は怖くて忘れられなかった、と言う。

殆ど、食事を取っていなかった様だ。
幼稚園の集合写真を見ると、私の体は他の子の半分位。

私を虐待したのは、祖母と母と姉。
父は、仕事が忙しくて知らなかった。

気付いてから、父は私に気を使ってくれた。

祖母が死んでから、母も祖母に虐待を受けて育ったと知った。
それでも母とは、楽しく出来ない。
姉は私を無視して居る。
父が私に気を使うのが、面白く無い様だ。

私には、ふたつの「虐待の後遺症」が有る。
ひとつ目は、体が弱い事。
ふたつ目は、対人関係が下手な事。
特に「年上の女性」が怖い。

ふたつ目の後遺症の方が辛い。




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