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wandering darkness
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2004/04/16 (金)
河野真由美


佐伯と喋りながら、廊下に出ようとした。

私は女の子とぶつかってしまった。
その子は、私の肩より背が低かったので、気が附かなかった。

佐伯は172cmだから、そういう事は多いと思うけれど。
私は151cmだから、こんな経験は初めてだった。

その子は転んでしまった。

私の体重は42kgなので、転ぶのは必ず私の方だった。

私は慌てて「ごめん」と言った。
その子が立ち上がる事に苦労して居た。

私は、何かの病気だ、と解った。
私と佐伯で、立ち上がるのを手伝った。

その子は佐伯の顔を見て、不思議そうな顔をした。
私は「どうしたの?」と訊いた。
その子は「私が気持ち悪く無いの?」と言い出した。

私は「全然」と答えた。

佐伯は「そんなふうに思った事は、一度も無かったよ」と答えた。

前から知って居る様な言い方。

私は佐伯に「知り合い?」と訊いた。

佐伯は「河野真由美。中学三年間、同じクラスだったんだ」と。

続けて河野に、こう言った。

殴られたら、殴り返せば良かったんだ。
教科書に落書きされたら、弁償させれば良かったんだ。
金を取られたら、警察に行けば良かったんだ。
脱げと言われたら、断れば良かったんだ。
先生が役立たずだったら、親に言えば良かったんだ。

河野は苛めに遭って居た。

河野は「佐伯さんは見てたじゃないの」と涙を見せた。

佐伯は「先生にチクってたよ。毎日」と答えた。
「先生は動かないから、河野の家にも電話したよ」

河野は驚いて居た。

「でも河野は否定したんだろ?河野の親父さんが言ってた」

教室全体が集団心理になって居る時。

友達の居ない佐伯には、それが精一杯だった。



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