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wandering darkness
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2004/04/19 (月)
長谷川綾香


同じ中学出身と、友達は無関係。

自分の主義だったじゃないか。

多分、私が友達に恵まれなかったから。
別の理由で、友達に恵まれなかった二人が、気になったんだ、と思った。



英語の授業中に入れ替わってしまった。
頭痛がした。
鎮痛剤を噛み砕いて飲み込んだ。

ノートは取ってあった。

後の席の女の子が話し掛けて来た。
「精神科に通院してるの?」

私は驚いて、振り返った。
ネームプレートを見た。

長谷川綾香。

華やかな、大人っぽい感じの子だった。

私は「どうして解ったの?」と訊いた。
長谷川は「母が総合病院の看護婦だから、ちょっと解るの」と答えた。

精神科の患者さんは、薬を噛み砕いて飲む習慣を持つ人が多いから。

一美君が「精神病?マジで?そんなふうに見えないけどな」と言った。
長谷川は「通院の患者さんは、見えない人が殆どよ」と答えた。

私は長谷川が気になった。

様子を見て居ると、誰とも接触しない。
昼食は独り。
休憩時間は読書。

最初は、私と同じ主義なのか?と思った。
友達の方から、選んで貰う主義。

違う様だ。

放課後、私は長谷川と話してみたくなって、追いかけた。
想像通り、長谷川は独りで帰って居た。

私は、呼び止めた。
「長谷川さん」

長谷川は驚いた様子も無く、振り返った。

しばらく雑談した後、言った。
「友達になってよ」
長谷川は微笑んで「いいわよ」と言った。

私は、友達に選んで貰う主義なのか、と訊いた。

長谷川は涼しい顔をして、答えた。
「学校は勉強する所でしょう?必要が無いもの」

なんと、小学校も中学校も、その姿勢だったと言う。

面白い人だ。



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