![]() ![]() |
![]() |
|
![]() |
||
![]() |
私は農民の女性でした。
当時の農民は、恋愛が自由でした。
武士の記憶では、妻を選ぶ事は、許されません。
本当に愛している女性がいても、側室にすればいいと言われて、辛い思いをした武士は、多かったんです。
私は16歳の時、おさななじみの17歳の男の子に「俺と夫婦にならないか?」と軽く言われました。
私は、彼が好きだったから、うなづきました。
それに、現代でいう「婚前交渉」は、普通の事でした。
彼は「よし決まった」と言って、二人で庄屋の家に報告しました。
その年は、飢饉でした。
彼は「闘う」と決めました。
私は、砥石で、鍬を尖らせました。
自分の武器には、鎌を研ぎました。
彼は「お前は来るな」と言いましたが、私は「子供がいれば行かないけれど、一緒に行く」と答えました。
彼は判ってくれたのだと思います。
抱き合って「どんな結果になっても後悔しない」と言葉を交わしました。
当日、彼は鍬で、刀を折って、敵に大怪我をさせました。
恐ろしい光景なのに、私は、彼を誇りに思いました。
私も、鎌で、怪我をさせました。
大した怪我では無かったから、左の肩から、右の腰まで、ばっさりと刀で斬られてしまいました。
倒れながら、彼が斬られるのが見えました。
それでも何の恐怖も感じませんでした。
ただ「極楽浄土で会える」と思って、意識が消えました。