この人格は、一度、自殺を図りました。
その時「綾乃」は15歳で、レイプの記憶を持っていました。
私のカッターナイフで手首を切りました。
父さんが見つけた時は、部屋が血の海だったそうです。
外科で縫ってもらった後、精神科に行きました。
PTSDによる自殺願望と言う診断結果でした。
入院中、ずっと「綾乃」が治療を受けて、私達は中で見ていました。
1年半かけて自殺願望は収まりましたが、自宅に戻ってからもフラッシュバックに悩まされて、苦しんでいました。
「樹」という人格が監視について、「綾乃」が自殺を図ろうとするたびに止めました。
交通事故に遭って「綾乃」も変わりました。
命の尊さを知ったんです。
それから「自殺は最大の罪」と言うようになりました。
すると年齢が上がって、今は30歳近くです。
表情も柔らかくなって、誰かが自殺をほのめかすと必ず止めます。
手首の傷跡は「私の罪の証です」と言います。
人格に名前があるのは「解離性同一性障害」だけとか「幼い頃に虐待を受けるのが発病の条件」とか、思っている人、いませんか?
こんな事を平気で言っているのは、日本人だけだと思います。
「溺愛」されてもなるんです。
アメリカで発表された有名な症例があります。
虐待の経験も無く、幸福に生きてきた20代後半女性だったのですが、夫の仕事の関係で3年間、フランスに行かなくてはならなくなったんです。
彼女は「行きたくない」と思ったんです。
ところが実際にフランスに行くと、すぐにフランスの生活に適応できたんです。
夫婦で名前をフランス語の発音で名乗っていました。
夫は「俺の妻は頭が良いから」と思っていたそうです。
アメリカに帰国したら、妻が「フランスでの記憶が、ほとんど無い」と言い出したんです。
精神科医に診てもらったら、もう一人の妻が現れたんです。
その人格は「自分はフランス人」と思っていたそうです。
治療は難しくなかったそうですが、こういう事もあるんです。
私は、死にたいと思った事がありました。
他の人格も思った事がありました。
でも、生きていれば何時でも自殺できますが、命を絶ってしまったら生き返る事はできません。
そう思って耐えていました。
助からないと思われたそうです。
けれど、深雪は「お願いします。助けて下さい。死にたくないんです」と外科医に言いました。
内臓破裂で話せるはずは無いのに、そう言ったので、外科医は驚いたそうです。
外科医は「どうしても助けたい」と思ってくれたそうです。
整形外科医までが手術に加わって、無傷にしてくれました。
入院している間に、たくさんの「死者の顔」を見ました。
それ以来、死ぬのが恐ろしくなったんです。
私だけじゃなくて、他の人格も、死を怖がるようになりました。
「24人のビリーミリガン」を知らない方は少ないと思います。
「解離性障害」と言っても、精神科医に言わせれば「患者の数だけ症例があると思ってほしい」というのが実状です。
だから私も「これは私の場合です」と断っておきます。
私の選んだ「共存完治」も、成功した患者さんは少ないそうです。
ビリーミリガン氏は、日本の精神障害者の基準で言えば、間違いなく「一級」だと言われています。
「ジェニーの中の400人」のジェニー嬢は「特級」だと言われています。
私は3級と2級の間です。
「重症」と「軽症」の差は、とても大きいんです。
2級は通院していて、具合が悪いと任意入院する事もあります。
3級は通院だけで健康な人と変わらないんですが、薬がもらえるので申請する患者さんがいるんです。
DIDが「化物扱い」されてしまう本当の理由を知って居ますか?
「幼女連続殺人事件」の宮崎死刑囚、酒鬼薔薇少年が、DIDだったからです。
しかも私と同じ「軽症」でした。
どんな業病に罹っても、その人次第だと判って下さい
基本人格を目覚めさせるのは、患者にとっても不安な事です。
現在の交代人格達も基本人格も傷つけない方法として、催眠療法を受けました。
催眠に入れたのは、交代人格の中で私だけでした。
基本人格が目覚めるまでに、4つの前世を思い出しました。
繰り返し催眠療法を受けると、私は自分で催眠に入れるようになってしまいました。
クリスタルのロザリオを持って、教会で祈ると見えてきます。
現在、11つの前世と胎内の記憶と胎内に入る前の記憶を持っています。
人は胎内に入る前に「神」と契約を交わします。
私は、あらゆる大病に罹り、克服すると契約しました。
共に誓った仲間は、それぞれ、どこかで精神科に関する状況にいるんです。
患者としてなのか、医師としてなのか、身近に患者か医師がいるのか、それは分かりません。
私は生きてさえいれば、必ず会えると信じています。
私は「解離性同一性障害」じゃないんです。
解離している間の私が名前を名乗るので、疑いをかけられています。
これは「珍しい苗字」や「珍しい名前」の方で、自分の名前が嫌いになった経験のある人には理解していただけるのでは無いか、と思います。
私の戸籍上の苗字は珍しい上に、名前は誰も読めません。
虐待を受けて、自分を嫌いになった子供が、自分の名前を嫌いになるのは、不思議では無いと思います。
基本人格と呼ばれる本人が、無意識に解離するたびに「その時に好きな名前」をつけてしまったんです。
名前をつけられたせいで、解離した感情が「個人」という意識を持ってしまったんです。
「それは解離性同一性障害では?」と思われるかも知れません。
明らかに違うと言い切れるのは、名前も性格も年齢も違うのに、共通点があるんです。
全員が「病気を治して誰かの役に立てる者になるまでは、絶対に死にたくない」と考えています。